寄与分 特別な寄与とは?

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寄与分 寄与分とは、被相続人の財産の維持又は増加に特別に寄与した」相続人が、相続財産の中から特別にもらうことのできる財産です。

寄与分

寄与分とは、被相続人の財産の維持又は増加に特別に寄与した」相続人が、相続財産の中から特別にもらうことのできる財産です。

寄与分

認知症の症状が酷くなった親に、毎日3度の食事を取らせ、常時見守りや排便への対応をした。

寄与分を認める・・1日当たり8000円の3年分(876万円)を寄与分とした(大阪家審平19.2.8)

親の資産を運用して1000万円の利益が出た

寄与分を認められない・・資産運用には利益の可能性とともに、常に損失のリスクを伴う。
損失によるリスクは負担せずに、たまたま利益の生じた場合には寄与と主張することは、相続人間の衡平に資っするとは、言いがたい(大阪家審平19.2.26)

被相続人に代わって、医療法人の経営に関わった子

寄与分を認める・・相続財産の3割の寄与分を認める(大阪高決昭54.8.11)

相続人が被相続人のために「土地売却にあたり借家人の立退交渉、家屋の取壊し、滅失登記手続、売買契約の締結」等に努力した

寄与分を認める・・売却価格の増加に対する寄与はあったものとして、不動産仲介人の手数料基準も考慮し、300万円と認めるのが相当である(長崎家諫早出張審昭62.9.1)

長男(死亡)の嫁が義父の遺産管理に多大な貢献をした。

寄与分を認められない・・・相続人が亡くなっておれば、相続人の配偶者や子には、独自の寄与分は認められない。
長男の死後に,その妻(相続人ではない)が義父の遺産の「維持管理に多大の寄与をしたことは…認められる」が、妻には法律上寄与分は認められないと判示(秋田大曲支審昭37.6.13)
代襲相続人の子がいる場合、相続人の妻の寄与を代襲相続人の寄与分と認めた裁判例がある(東京高決昭54.2.6)

長男(生存)の嫁が、脳梗塞の義母を死亡まで献身的な介護をした。

相続人が存命であれば、相続人が配偶者や子の寄与を自分の寄与として(履行補助者)寄与分を主張できます(東京家審平12.3.8)

父親の仕事を手伝い、小遣い程度の賃金を得ていた次男

寄与分を認める・・対価を受けていても少額の場合は「支払われた賃金や報酬等が提供した労務の対価として十分でないときは、報いられていない残余の部分については寄与分と認められる(大阪高決平2.9.19)

民法より抜粋
(寄与分)
第904条の2 共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。
1 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。
3 寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。
4 第2項の請求は、第907条第2項の規定による請求があった場合又は第910条に規定する場合にすることができる。

※「特別の寄与」については、最高裁判所事務局家庭局「改正民法及び家事審判法規の解釈運用について」という通達(家裁月報33巻4号)で「被相続人と相続人の身分関係に基づいて、通常期待されるような程度の貢献」は寄与分とはみない。それを「相続分の修正要素である寄与分とすれば、相続分を極めて可変的なものにすることになり、権利関係の安定を著しく害するおそれがあるからである。しかし、相続人に通常期待される程度を超えた貢献や寄与がある場合は寄与分と見る。なお、「相続人に通常期待される貢献」と言う場合、相続人による立場の違いも考慮される。例えば、相続人である配偶者と子が同じ程度の家事労働による寄与をしたとしても、配偶者は「協力扶養義務の範囲内のものと認められる(夫婦なら助け合って当たり前)」が「一般的な扶養義務ないしは互助義務を負うに過ぎない子」については特別の寄与になると認めうる(子が親の介護を懸命にした等)場合もある。

(遺産の分割の協議又は審判等)
第907条2
遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。

(相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権)
第910条 相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。

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