相続の恐ろしい落とし穴 「単純承認」
Category: 相続 単純承認, 相続, 相続放棄 | Posted: Last Update:
相続の単純承認をすると、相続の放棄が出来なくなる 被相続人の多額の借金が、後から判明した場合、逃げることが出来なくなるということです。 死亡した被相続人の預金を引き出して、子供の学資に充てる 単純承認される:財産の処分に […]
相続の単純承認をすると、相続の放棄が出来なくなる
被相続人の多額の借金が、後から判明した場合、逃げることが出来なくなるということです。
死亡した被相続人の預金を引き出して、子供の学資に充てる
単純承認される:財産の処分にあたる為
被相続人の残した借金の債権者から督促が来たので、被相続人の財産の中から支払う
単純承認される:「保存行為」と認められない場合
単純承認されない:「保存行為」と認められない場合(大阪判昭12.1.30)
被相続人の着物を全て形見分けとして持ち去る
単純承認される:一般経済価値を有するものについての形見分け、
着物全ての持ち去りは形見分けを超える(東京地判平12.3.21)
遺産分割協議に参加
単純承認される:そもそも遺産分割協議は財産処分を行う行為
遺産から葬式代・火葬費用などを支払う
単純承認されない:遺族として当然の行為だから該当しない
(東京控判昭11.9.21・大阪高判昭54.3.22)
被相続人の契約した生命保険金を受け取る
単純承認されない:生命保険金は本来の相続財産ではなく受取人固有の財産
(最判昭40.2.2・最判平14.11.5)
死亡が被相続人が貸しておいたお金を取り立てる
単純承認される:権利行使にあたる。被相続人の債権の取立ては単純承認
(最判昭37.6.21)
死亡した被相続人の自動車を売る
単純承認される:財産の処分にあたる為
財産の処分とされる例
・遺産分割協議 ・権利行使(売掛債権の取立て・株主権の行使)
・債務履行(保存行為に当たらない債務弁済)
財産の処分とされない例
・保存行為及び短期賃借権 ・身の回り品・所持金の受領 ・個人の道具類の無償貸与
・遺産からの葬式費用・火葬費用・治療費・交換価値のないもの・形見分け・僅かな物
下記は民法より抜粋
民法(法定単純承認)
921条 次に揚げる場合には、相続人は相続を単純承認したものとみなす。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りではない。
二 相続人が第915条1項の期間内に限定承認又は相続の放棄ををしなかったとき。
三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りではない。
(短期賃貸借)
第602条 処分につき行為能力の制限を受けた者又は処分の権限を有しない者が賃貸借をする場合には、次の各号に掲げる賃貸借は、それぞれ当該各号に定める期間を超えることができない。
一 樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃貸借 10年
二 前号に掲げる賃貸借以外の土地の賃貸借 5年
三 建物の賃貸借 3年
四 動産の賃貸借 6箇月
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第915条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
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