民法改正(相続法)遺留分制度が見直されました
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年に一度は家族で集まって、相続について考える時間を作るだけで、相続問題は激減します。と言っても、一般の方は、どのような問題が潜んでいるかわからないことが多いので、専門家を交えて話し合うというのがとても重要です。 家族で相続を話し合う場のコーディネーターとしてのご依頼は、お問い合わせフォームより受け付けております。
2019年7月1日より民法が改正されます。相続法とは民法の第5編で、882条〜1044条に規定されている部分の事を指します。
現行法上、遺留分減殺請求により土地や自社株などの現物が共有になると、この共有関係の解消をめぐって新たな紛争が生じる場合もありました。また、相続人に対して行われた生前贈与は相続開始の何十年も前に生前贈与された場合であっても特別受益として遺留分の算定基礎財産に算入されていました。
そこで、今般遺留分の金銭債権化と遺留分算定の基礎となる財産に関しては、【相続開始前の10年間の贈与に限定】すると設定されました。
遺留分を侵害された人は、遺留分に満たない分を現物でなく現金(金銭債権)で受け取れる・・この事を、「遺留分侵害額請求権」というようになりました。
現行「遺留分減殺請求」が、新設「遺留分侵害額の請求」に、名称変更
現金をすぐに用意できない場合は裁判所の判断で、支払期限の猶予あり
※「遺留分侵害額請求権」は、相続の開始や遺留分を侵害する行為があった事を知った日から1年以内に行使する必要があります。
土地を共有するという、複雑な状態になっていたので、以下のようになります。
この改正は、争いの火種を量産する可能性があります
遺言書があっても、遺留分は侵害できません。
例えば、上記の通り、長男が会社【相続評価額5億円】を相続し、長女は【預貯金2000万円】しかもらっていないので、不満に思い(誰かに唆される事が殆ど)遺留分侵害額に相応する金額【1億1000万円】を請求するとします。
長男は評価額5億円の会社は相続しましたが、相続財産は土地や不動産が多く、現金が潤沢にあるわけではありません。
事業の継続の為に、会社の資産は切り崩せません。経営権が移ったばかりの会社で、安定した経営をしていけるかも不安です。
現金を作るために、事業規模を縮小したら、リストラをしなければいけないかもしれません。リストラすれば、その社員の家族は路頭に迷います。
こんな時、長男はお金を払えるでしょうか?
無理やり支払えば、会社は倒産し多くの家族や従業員が路頭に迷うことになるかもしれません。
長男の優先順位は、1. 自分の家族を守る 2. 事業の継続 3. 従業員の雇用 4. 取引先(顧客) 5.納税 6. 取引先金融機関 7.妹への支払
このようになると思います。
この制度は完璧ではありません。 長男が優先順位を弁えていれば長女にお金を支払うのは一番最後になります。
そもそも権利があるから、どんな状況だろうが請求してやる!という兄弟関係はもう破綻してますけどね・・
これは、制度があるから安心・・というものではなく
「事前準備をしっかりしておかないといけないなぁ」と考えていただくきっかけにすることが大切だと考えます。
長女が受取人の死亡保障1億1000万円の保険に加入しておくだけで、この問題のお金の部分については回避できますが、その他にも次から次に問題が出てきます。
年に一度は家族で集まって、相続について考える時間を作るだけで、相続問題は激減します。と言っても、一般の方は、どのような問題が潜んでいるかわからないことが多いので、専門家を交えて話し合うというのがとても重要です。
家族で相続を話し合う場のコーディネーターとしてのご依頼は、お問い合わせフォームより受け付けております。
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