良い人材を採用する方法4(番外編)

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廣野のファンだったはずの人からの突然の慰謝料請求、あまりのタイミングの良さから、嵌められた疑惑もありますが、そんな周到な事をできるとも考えられないので、すぐ掌を返す人だったのでしょう

前回、クレーマーが厨房に乱入して来て、突然、慰謝料請求されるところまで書きました。

その続きに進んで行きます。なんだか自叙伝になってきちゃいました・・・

廣野は、まだ24歳、クレーマーの剣幕とあまりの勢いに押され、今思い返しても不思議ですが、なぜか謝罪しました。なぜ「申し訳ございません」と頭を下げたのかわかりません。条件反射ってやつだと思います。

そのクレーマーは、厨房の奥の店長デスクの方までワタシを追い込み、人でなしだの、人間失格だの、ゴミだのカスだの、ワタシを罵倒し「誠意ある謝罪」を求めて来ました。

誠意ある謝罪

もう一度、クレーマーの娘が働ける環境を提供することでも、頭を下げてお詫びを伝えることでも、上司と謝罪に伺うことでも、会社を辞めることも誠意とはとってもらえません。

クレーマーは、「誠意を示せ」と言うばかりで、具体的な要求はして来ません。

ラチがあかないので、ワタシは、「上司とあらためて謝罪にお伺いし誠意を示します」とその場を凌ぎ、上司とデベロッパーに報告しました。

直属の上司は、相手が「あのクレーマー」である事を知っていますから、こちらができる事はここまでだと、スタンスを決め、菓子折りを持ってお詫びに行こうと言う事で、すぐに一緒に謝罪に出向いてくれました。

チェーン店なので、上司は同じ店舗にはいません。エリアマネージャーと言うのが上司です。

最初の訪問

菓子折りを持って、上司の車でそのクレーマーの家に行ってまず目に入って来たのが街宣車

クレーマー宅にて、上司と2人で頭を下げるも、それはクレーマーが期待しているものではありません。話にならないと菓子折りを返され、出直すようにと追い払われました。

警察に相談

上司は、またお詫びに行こうと言っていますが、ワタシは何も悪い事をしていないのに、謝罪に何度も伺う事に納得がいかず、会社を当てにしないで警察署に行き警部補さんに相談に乗ってもらいました。

その警部補さんは、「ああ、あそこの家ですか」「いいですか、もう絶対に出向いてはいけません」「危害が加えられる可能性もありますし、他にも同じ思いをしている人がたくさんいるのです」「あの家の常套手段です、もう一度言います。絶対に出向いてはいけません。毅然と対応してください」と注意喚起してくれました。

警察は、民事不介入ですから、刑事事件にならないと動けません。

そのクレーマーは、巧妙に刑事事件にならないように、謝罪に訪れる人を追い込んでいる事を教えてくれました。

上司の上司の意向

しかし、ワタシはサラリーマンですから、上司の意向に従わざるを得ません

上司はもう一つ上の上司に報告。ここからはややこしくなるので、直属の上司をFI(フィールドインストラクター)もう一つ上の上司をRM(リージョナルマネージャー)と表現します。

RMは以前に同じような問題解決をしたことがあるようで、「俺に任せておけ!」って言ってくれました。

土下座作戦だ!」・・・ワタシは、悪い事していないのに、なんでこんなクレーマーの対応しているのだろう?なぜ謝罪が必要なのだろう?と思いながらも、上司には従わなければなりません。

上司は、部下の責任をとってくれるものだから・・・(能力がないのに上にいる上司は責任を部下に転嫁すると言う事をこの頃の廣野はまだ気づいていない

RM・FIと3人で謝罪

この日の出来事は鮮明に覚えています。

まず、クレーマー宅までの交通手段。ワタシの車

ワタシは、最年少店長になり給料がそれまでの2倍になっていたので、慎ましい生活をしながら、BMWに乗っていました。もちろん中古です。

「廣野の車で行こう!乗ってみたいから。」とRMの言葉

ワタシは、FIに絶対それはやめた方がいいですと助けを求めましたが、結局ワタシの車で行くことになりました。

新しい、菓子折りも購入して、クレーマー宅までの道中、RMがこれまでに解決したトラブルの武勇伝を聞かされました。

ま、任せておけ」とRMは言うのですが、一体どんな凄腕なんだ?と興味が湧きました。すぐにその手腕を目の当たりにすることになります。

クレーマー宅について、出迎えたクレーマーは、ワタシの車を見て意味深な表情を浮かべました。ワタシは、主導権をRMに任せているので冷静です。

クレーマー宅につくなり、土間で土下座をしました。

履き物を脱ぐところです。大人が3人、土間に這いつくばり、RMは代表して謝罪を伝えます。

しかし、謝罪が目的でないクレーマーは、どうぞお上がりください。土間とつながっている応接用の仏間に通されました。

なんだか怖いお兄さん出て来そう。

はい、出て来ました。(画像はイメージです)

中心に親分を据え、両サイドの若い衆が並びこちらを睨みつけます。

肝心のクレーマーの娘はいません。我々は何をしているのでしょうか?

菓子折りを渡したら、新しい菓子折りなのですが、包装紙が前回と同じだったので、使いまわしてんじゃねーとまずキレられました。

同じ場所に2回以上謝罪に訪問する際は、菓子折りは違うところで買うべきことをこの時学びました。

RMは謝罪を続けます。しかし暖簾に腕押し状態。

RMに対し、クレーマーこのように返して来ました。

御社には特に文句はありません」「私達は廣野に対し個人的に謝罪を求めているのです」

RMはしばらく絶句。そして「し、しかし会社の管理不行届のどーのこーの」

ワタシは隣で、それはこの人たちには通じないですよ。と思いながら、上司は当てにならないので、これからは集中攻撃がくるだろうなと覚悟しました。

私は、正座したまま一歩前に出て、さらに土下座をしました。

そして「私には頭を下げることしかできません。」とはっきり伝えました。

そこからは、さらに極道ドラマさながらです

若い衆がキレて殴りかかろうとして、それを親分が「やめときぃ!」って制したり、「海に沈めるぞ」「ぶっ殺すぞ罵詈雑言が飛び交います。

そして、「あんたらレコーダー持ってないやろな?黙って録音したら違法やで

※ちなみに秘密録音は違法ではありません

なんと、上司はレコーダー持っていませんでした。「まさに無能

こう言うところに行く場合はレコーダーは必須だと学びました。

そして、ラチがあかないと思ったのでしょう。具体的な要求をするようになって来ました。

廣野の見た目は育ちがいい軟弱者に見られるのでしょうか?

どうせあの車は親に買ってもらったんやろ」「あれ売ったら金できんで

徐々に具体的な恐喝が始まりましたが、上司はレコーダーを持っていません

かなりの時間監禁状態です。終わりが見えません。

廣野はどれだけ脅されても、「私は頭を下げることしかできません」の一点張り

親をだせ

もう廣野を詰めても「誠意」を引き出せないと思ったクレーマーは、今度は、親をだせと行って来ました。もうめちゃくちゃです。

ワタシは「親は関係ありません」と毅然と対応。

しばらく、私が抵抗していると、RMが私に、「廣野、親に電話しろ

まじか?こいつ?今の状況はどう見てもただの恐喝現場じゃないか?場を制して離脱するきっかけを作るのが上司の役割だろと思いつつも、

ワタシは実家の電話番号をこんな奴らに教える訳にはいかないので、親からクレーマー宅に電話してもらう方向で考え、

母を巻き込むにしても状況を先に伝える必要があると判断し、携帯の電波がないと嘘をつき、電波を探して一旦外へ離脱し、母親に連絡。要点を伝えました。

その後、母とクレーマーが会話をするのですが、案の定、母は謝罪することもなく毅然と対応。

クレーマーは激昂、「子が子なら、親も親だ!」「もうラチがあかない社長をだせ!」

あれ、会社に文句ないって言ったのに・・・

ここでやっとRMが上長に連絡して対応しますとなり、やっと解放されることになりました。

帰りの車内はまたRMがどうにかなるからと調子の良い事を言っていましたが、

廣野は、多くの上司と言われる人達は口だけの人が多く、解決策を持っていない事を学びました。

その後、どのようにRMが報告したか分りませんが、本部から統括本部長が2人やって来て解決してくれました。

そして、統括に言われた言葉にワタシは絶望しました。

「お前、とんでもない事したな。」「もう店舗にいかなくていいから」「先方は次顔を合わせたら殺すって行ってるから5日以内に移動の辞令を出す」

RMは一体どんな報告をしたのでしょう?

最後にお世話になったデベロッパーの方々に挨拶に行きました。そんな事絶対におかしい。店長のおかげでショッピングセンター全体が盛り上がって来たのに、あの人は、ウチは出禁にするから。

ワタシの普段の仕事ぶりを知っている人は、こんなに高く評価してくれるのに、ワタシは2ランク降格し、給料は半分になり、関東に単身異動することになりました。

なぜ、こんなことになったのか?

結婚し、妻が長男を身篭り、新居を構え、引っ越した矢先の出来事でした。

つづく

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