未来の夢のような薬 ちょっと怖い・・
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キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T: Chimeric antigen receptor T cell)療法 なんだ、なんだバイオハザードか? T細胞??あ、Tウイルスじゃないのね・・・
キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T: Chimeric antigen receptor T cell)療法
なんだ、なんだバイオハザードか? T細胞??あ、Tウイルスじゃないのね・・・
11月14日に日経新聞で「がん特効薬、上陸の衝撃」という記事がありましたが、
この治療法は免疫療法と呼ばれる部類に入ります。
CAR-T細胞治療
がん患者からT細胞を分離し、T細胞にキメラ抗原受容体(CAR=Chimeric antigen receptor)を、
遺伝子組み替えで合体させ、「CAR-T」細胞を作り出します。
そのCAR-T細胞を増殖させ、そのCAR-T細胞を患者自身の体に戻すという治療法です。
T細胞(Tリンパ球)とは、白血球の一部で、免疫系の軍隊のような存在です。
キメラ抗原受容体の機能:腫瘍細胞の認識、T細胞の活性化、腫瘍細胞の破壊
CAR-T細胞治療の特徴:
①患者自身のT細胞を使用するので、拒否反応のリスクが減ります。
②多くの腫瘍細胞は、同じ特徴を持つ為、他の腫瘍に対する治療も可能。
③CAR-T細胞は、腫瘍細胞の特徴も認識できるので、似ている腫瘍も治療できます。
④CAR-T細胞は、MHC(白血球)に拘束性を示しません。
⑤CAR-T細胞は、免疫記憶機能がありますので、患者の体内に戻しても長期間で機能を示します。
⑥自殺遺伝子をT細胞に組み込む事で、CAR-T細胞の安全性を向上させることができます。
遺伝子組み替えだけでもすごいですが、自殺遺伝子って・・・・そこまでできるんですね。
夢のような薬の怖いところは、別にあります。
その価格・・
5000万円以上・・・
これが、保険適応されれば、「国民皆保険制度」など吹き飛ぶでしょうね・・・
このように大きなニュースで効果があると伝えられている裏側のリンパ球バンクのレポートからは、
「高額なだけで、副作用が大きく、特効薬というほどの効果はない・・」と警鐘が鳴らされていたり・・
フランスの哲学者ヴォルテールの言葉(250年くらい昔の格言ですが・・・)
「医者というものは、ほとんどわかっていない未知の病気を治療するために、自分でもわかっていない薬を処方するものである」とありましたが、
現在の治療は、医者がエビデンス(根拠)を提示し患者がそれを選ぶ時代になってきています。
正しい情報の精査が大切なことと、時代の進化に倫理観がついていけるか、どこで線を引くか・・
とても難しい問題だと思います。
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